こういう朝、あの人は優しい。
いつも優しいけど、いつも以上に気を使ってくれる。
腫れたまぶたへのキスも羽で触れるかのようだし、
凭れ掛かるクッションもいつも以上に空気を含ませてくれる。
声を出す前にミルクティを用意してくれるし、
ほんのり甘みがして、いつもは入れないのに砂糖が入っているのが分かる。
ターバン代わりに頭を覆うショールは枕元に用意してくれるし、
シャワーを浴びた記憶はないのに、気持ち悪くもない。
でも「大丈夫ですか」とは聞いてこない。
だって、今日はこんなにいい天気なのに、私は外には出れないから。
(もっとも聖地はいつでもいい天気ですが。)
聞かれたって私が、「大丈夫ですよ」と答えてしまうのはわかっているし。
(大丈夫でないのは一目瞭然なのに。)
あの人はまるであった事が無かった事のように、その事について触れない。
だって試験には終わりが来るから、次があるか分からないでしょう。
割り切ってみせようと決めて、なるべく多くの思い出を作りたいのに、
やっぱり今日も部屋でごろごろしてしまうんですね。
だから、時々思っちゃうんですよ。
皆あの人の頼りがいがあってしっかりした面しか知らなくて、堅物だと思っているじゃないですか。
もし私があの人のことを
「本当はとっても悪い子なんですよ」
って言って回ったら、どんな顔をするんでしょうかね。
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ねえ、レイチェル、なんでルヴァ様っていつもお話する前に「えー」、とか「あー」とかつけるのかしら?皆さまのこと聞いているだけなのに。